アイドルソングとしての『はぐすた』を考える
皆様ご存知かと思いますが、今世界で大変なことが起こっています。
そうです。
『Kis-My-Ft2 CONCERT TOUR 2019 FREE HUGS!』のYouTube無料公開。
それに伴う、二階堂高嗣くんのソロ曲『はぐすた』の世界進出。
更に更に、二階堂高嗣くんの30歳の誕生日目前。
というわけで、この機会に『はぐすた』の考察を試みました。
決して去年途中まで書きかけたまま時期を逃してあちゃ~ってなってたところに丁度良いタイミングが訪れたとかじゃないからね!
1.アイドルソング とは
タイトルに「アイドルソングとしての」とかいう大それたことを書いてしまったので、まずはアイドルソングの定義を考えるところから始めよう。
アイドルに提供されたものはアイドルソング。広義では勿論そうだけど、じゃあ狭義のアイドルソングは?
「アイドルソング」は、アニメでいう「キャラクターソング」に似ていると感じている。
アイドルソングで歌われる「僕」「私」はアイドル自身に置き換えて考えることができるし、「君」は聴き手や他のアイドルに置き換えられる。
王道アイドルソングとして今最もホットなのは、King&Princeの『シンデレラガール』。(注:私調べ)
君はシンデレラガール
いつになってもいくつになっても僕は君を守り続ける
この歌詞の「僕」をキンプリメンバーに、「君」をファンである自分自身に投影するファンも少なくない。
更に、「自担にカバーしてほしい」と願う他グループのファンにも、時たま「自担に『My precious one』と歌われたい」「『自担からいつになっても いくつになっても守られる』という夢を見たい」という願望が見える。
楽曲の一人称を歌い手に・二人称を自分に重ねることのできる、正に王道的なアイドルソングだ。
でもキスマイ以外のジャニーズにはマジで疎いので、ここからはキスマイの話をするね。
『Everybody Go』を聴くとき、曲中に出てくる「俺たち」は誰だろうか。
勿論Kis-My-Ft2だ。Kis-My-Ft2がこの時代のチャンピオンだ。Kis-My-Ft2の情熱で明日は飾られるのだ。この時代が待ってるチャンピオンはもしかしなくてもKis-My-Ft2だ。間違いない。なあハム太郎?その通りなのだ!へけっ!
文部〇学省が音楽の教科書に載せることを検討していると話題の『70億分の2』についても考えてみよう。
365日春夏秋冬も共に過ごしたい「君」は、勿論二階堂くんにとっての千賀くん・千賀くんにとっての二階堂くんを指す。待ってごめんこの時点で涙出てきた。
つまり、一人称を歌い手であるアイドルに・二人称を聞き手であるファンや別のアイドルに当てはめることができる曲が、狭義の意味でのアイドルソングなのだと思う。
逆に言えば、「アイドルらしくない」と評価されがちな曲だって、例えば『Flamingo』なら、「私に思いを伝えられない不器用で真っ直ぐなキスマイ」が頭に浮かぶなら、その聞き手にとってこの曲は「アイドルソング」になりうる。
狭義のアイドルソングを定義するのは聞き手だ。
というわけで、ここからは『はぐすた』の一人称を二階堂高嗣くんと捉えた上で強引な解釈をしていきます。
2.『はぐすた』について
イントロと歌い出しだけで「二階堂高嗣の歌」だと分かる。
恐らく誰もが替え歌と共に知っているであろう『アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク』が流れ出す。……かと思えば何かが違う。
移調されたこの『アイネ・クライネ略』は、どこか怪しげな雰囲気が漂う。少なくとも「バーカアーホ」とは言い難いオーラ。ここでイ短調とかそういう用語書ければかっこいいのにね。ごめんな。
この「いつもは明るくて親しみやすいのに今日は違う…?」という異質さ。そう。まるで、バラエティーではバカでかい声で騒いでいた二階堂くんがパフォーマンスになると途端に陰のオーラを纏うかのよう。
この曲のパフォーマンスでは特に顕著で、猫のぬいぐるみを抱えて笑うような無邪気さを持つのに怪しげな世界観を全身で表現し、「TOY」すら読めない英語力を持つのに流暢な英語ラップを歌い上げる。私がさっきまで見ていた番組がばれる
ところで、『アイネクライネナハトムジーク』は古典音楽としての面も持つ。移調こそされているけど、使われている楽器はオーケストラで使用されているものだ。そこから電子音を多用したEDMへとアレンジが大きく変わっていく。
この古典と最新の融合という形、まるで妙な所で頑固なくせに妙な所では素直で周りに影響されやすい二階堂くんを見ているような気分になる。
そして、このイントロの怪しさを踏襲した曲調と、それに応えるかのような渋くてありえないほどかっこよくて早く世界に見つかるべき低音ボイスで歌が始まる。しかし歌詞の雰囲気はややミスマッチ。
あららほら心ざわめくの
なぜかしら(以下略)
渋い歌声とは裏腹な柔らかい口調。はい!お家芸!
(*`∀´*)いいじゃないいいじゃな〜い
(*`∀´*)何よぉ!好きすぎて辛いって!
ちなみに、他の箇所では「ストロベリー」「ラッキー女神とスーパーエンジェル」「ハッピー星が降り注ぐステージ」とメルヘンチックな言葉が登場する。
家のルンバや加湿器を生き物のように可愛がり、キスマイ7人の仕事があった日のブログに「✨」を7つ並べて書く二階堂くんがこのキラキラファンシーメルヘンワーズに相応しいのは自明だ。
では、肝心の歌詞の内容を順番に見てみよう。
①~サビ前
※便宜上、「ニカニカ 高鳴る胸」以降をサビとします。
サビ前までの歌詞では、似たような意味の言葉が繰り返されている。
・心ざわめく
・譲れない
・その気になっちゃって
・逃したくないぜ
何かに対する強い期待や気合い。韻踏めた!嬉しい!
そして、
・今 その気になっちゃって
・this one chance
と、それが瞬間的なものであるということが示唆される。
ただ、肝心な“何を”したいのかが見えてこない。
「やりたい!」「何を?」「やりたい!」「だから何を?」「今やりたいんだってば!」
みたいなやり取りをしている気分。
そして、そんな最中に「はぐすた」というタイトルと同じフレーズが登場する。
はぐすた。HUG STAR。スター(星)を抱きしめる。
この「スターを抱きしめる」という意味は、二つの解釈が可能だ。
一つは、「『星』を抱く」いう解釈。この言葉は「チャンスを手に入れること」「成功すること」のメタファーである「星を掴む」と同義と考えられる。ここでは、成功のために与えられたチャンスを手に入れる瞬間を歌うということになる。
つまり、「二階堂高嗣がスターとして成功する」ことを指すフレーズだ。
もう一つは、「『人気のあるタレントを指す言葉としてのスター』を抱きしめる」と考える解釈。では、この場合「スター」は誰を指すのか。それは勿論、彼自身に決まっているわけで。
こちらの場合は「二階堂高嗣が自分をスターだと確認する」ことを指しているのだと考えられる。
(2022年6月追記)
二階堂くんがコンサートを「地上で唯一見れる幾千もの星」とV系訳したことで、「星=ファン」という文脈が登場した。つまり、「はぐすた」とは、「二階堂高嗣がファンを愛する」という意味にもとれます。
君 ストロベリー 映って
ねぇ 思いっ切り手を振って
ストロベリーの意味はマジで分かんないんで放置します(放置すんな)。
「思いっきり手を振る」は2つの解釈が可能だ。
一つは「さばら👋」。例えば、日常に別れを告げ、非日常を演出することを指す。
もう一つはファンサ。先程の「今」という刹那的なフレーズと併せると、この曲はコンサートについて歌っているとわかる。そして、ファンサービスというのは、ファンを集める立場にいなければできないわけで。
ここに はぐすた はぐすた 愛を伝えて
スターになるにも、スター性を証明するにも、ファンがいる空間であることが不可欠。
「愛を伝えて」は複数の解釈が可能だ。
- 二階堂くんがファンに愛を伝える。ファンサの言い換えであり、ファンサをする立場としてスターに上り詰めたり、自分がスターであることを確認したりする
- 二階堂くんが二階堂くんへ愛を伝える。「自分にスターとしての価値がある」という自尊心の象徴
- ファンに二階堂くんへ愛を伝えるよう頼んでいる。ファンが愛を伝えることは、彼を更にスターにしていく
(2022年6月追記)
「星=ファン」説で考えると、ファンへ「愛を伝える」行為をシンプルかつストレートに歌ってますね。
②サビ
ニカニカ 高鳴る胸
サビに入るとまず、言わずと知れた二階堂くんの愛称が登場する。
プライベートでも「ニカ」と呼ばれているらしいけど、芸能界で生きる中で二階堂くんはこのあだ名を大切にしている。二階堂くんがスターであるために、「ニカ」という呼び名は不可欠だ。
印象的なことに、ライブで二階堂くんは「ニカ」と歌わない。
マイクを客席に向け、「ニカ」とファンに歌わせる。
「二階堂高嗣がスターとなる儀式・二階堂高嗣がスターだと確認する儀式にファンを参加させてくれている」という構図が色濃く浮かび上がる。
二階堂高嗣がスターとなるためにはファンの「ニカ」という声援が必要。ファンの「ニカ」という声で二階堂高嗣は自分がスターだと確認することが出来る――
そして二階堂くんは
届け ナ エブリバディ say!
と、「ニカ」の声を煽る。
順番が前後するけど、この少し前にあった
ショミワチュガッナー(show me what you ganna)
は、同じくファンの掛け声を煽るものかもしれないし、その声を受けた二階堂くんが「どこまで駆け上れるのか?」と自問自答するものなのかもしれない。
そして再び
はぐすた はぐすた
と、タイトルを復唱する。
ここの振り付けも印象的。
「はぐすた」と歌いながら掲げるピースサインは、「Kis-My-Ft2の2」か「星の一部」だろう。
つまり「『Kis-My-Ft2の二階堂』として自分はスターになる」という自負かもしれないし、「メンバーやファンやスタッフなど周りの支えが無ければ自分はスターではいられない」「(特に)ファンのお陰でスターでいられる」というメッセージかもしれない。両方かな。
③ラップパート
そして例のラップパートへ。
yea, you know wa! で ねぇ いつか夢見たスターダム
「夢見る」ではなく「夢見た」。スターの地位が目の前にある、もしくは既にスター。
こっから now いざなう
スターダムを夢見た過去から今へと時が進む。どこへいざなってくれるのだろうか。
wordが閃く転がる so bad
だったらさっくり魅せちゃう?キメちゃう?見せ場さ
二階堂くんが「Wordって何?へ〜白紙のことWordって言うんだ~」と頓珍漢なことを呟いていたWordではない
ラップパートが始まって間もなく、かつ無音ラップ直前に登場していることもあって、「ラップを披露する」という意気込みを聞かされているように感じる。ラップが「見せ場」という自負…
ミスタ・ミステリアス
そりゃミステリアスだよ。どんだけこの解釈に悩んでると思ってるのよ。
こんなブログを書いてはいますが、私は二階堂くんのことを全然知らない。というか二階堂君のことが分からない。ミスタ・ミステリアスという称号があんなにも似合うアイドルはきっと二階堂くんくらいだ。
知りたい?知っちゃう?
え?教えてくれるの?と思えば、
少しだけね 飛ばしちゃう
はぐらかされ(?)、
フューチャー more fun
楽しく生きよ~‼
という幻聴が鳴り響くような言葉。
完敗だ。我々は完全に彼の手のひらの上。欲しがる君に得るアドバンテージそれを嗜むとしよう…
ところで、この二階堂くんとファンの哀しき追いかけっこの裏で、意味深なフレーズがあります。
see my one be the sun
唐突な太陽。この太陽についても2通り考えられる。お前さぁ、解釈絞らなさすぎなんだよ 周り見てみ?すっげぇ困惑してんだよ
一つは「夜」の対になるもの。この曲では「夜=ステージ」なので、太陽は「ステージを降りた時に輝く姿」を指す。例えばバラエティーとか。「バラエティーでももっと頑張るから、そんな姿も見てほしい」みたいな。
もう一つ考えられるのは、「星の中のトップ」としての太陽。「トップアイドルになるから見とけ!」の意味。
そして、
胸張っていけば圧巻
そうだぞ二階堂高嗣~~~!!!胸張れ~~~!!!お前は!!!宇宙一の!!!アイドル!!!
そんなこんなで(?)、この曲最大の見せ場であり偉業of偉業ともいえる無音ラップパートに入る……と言いたいところだけど、実はバックサウンドがなくなるのは前述の「知りたい?知っちゃう?」から。
二階堂くんってこういう人だよね。自分がどれだけの功績をあげたとか、どれだけ努力したとか、そういうのぼかすよね……
では、肝心の英語詞を読み取っていきましょう。
まずは訳してみました。
Google翻訳で。
音楽は私をゆるい、ゆるい
溝を見せて
あなたはそれを愛し、そうそう、私も
だから、クルーズのようにしたい
駆動力を見つけることができます
もちろん連れて行ってもいいですか
そして、美しさ、美しさ、キューティーハニー、あなたは最も赤ちゃんです
よ、行きましょう!
人工知能さんの進歩にご期待ください――――
という訳で、頑張って意訳すると、「僕たちは音楽が好き」「自由に音楽を楽しんでいこう」
みたいな内容ですよね。
※お察しの通り私の英語力はアレなので、正しく訳せたら教えてください、あと誤訳の指摘は優しくお願いします
そう。音楽が好きすぎる。
ファンとスターの関係はあらゆる業界に存在する。
スポーツ選手、作家、起業家……
「スター」という言葉が指す範囲は広い。
でも、このラップ詞を見てみると、二階堂くんが「音楽に身を置くタイプのスター」であること強調される。
そう。アイドルだ。
無音ラップの最後、「let's go!」の咆哮に合わせて5万5千人が歓声を上げる。
かっこつけることへのレスポンスとしての歓声というよりは、賞賛・祝福としての歓声。例えば、フィギュアスケートで選手がジャンプを成功させたときの熱気に近い。あ、宇野昌磨選手に似てるってこの伏線…?(違うよ)
しかし、そんな歓声に浸る間もなく別れ烏。間違えた。歓声に浸る間もなく曲は進む。
④ラップ後
ハッピー星が降り注ぐステージ
ステージを囲んだ客席から5万5千の緑色の光が二階堂くんを照らし、二階堂くんに向けられた歓声がドームを揺らす。この状況は「星が降り注ぐ」という情景そのものだ。
タイムリーなことにキンプリの岸くんが「ステージから見てファンは星」と言ったことが話題になっているけど、この空間は正に星。大丈夫、オタク死んでないよ。
「HUG STAR」の「STAR」は、このことも指すのかもしれない。
同時に、『はぐすた』に3つ目の意味が加わる。
応援も賞賛も祝福も、全て自分へと向けさせること。そしてそれらを受け止めること。
二階堂高嗣がスターとなる「はぐすた」にも二階堂高嗣が自分をスターだと確認する「はぐすた」にもファンの声が求められると書いたけど、ファンに声を向けさせること自体もまた「はぐすた」。(哲学?)
(2022年6月追記)
「星=ファン」というのはここでさり気なく提示されるものだと思っていたのですが……ですが……3年越しの答え合わせ…
今光が僕らを流れていく
降り注ぐ光(星)が客席の光なら、流れていく光はステージの光、もしくは希望や輝かしい未来のメタファー。
忘れられないsong for you
you(ファン)に捧げられた忘れられない歌。you(二階堂くん自身)にも捧げられた忘れられない歌。
キラキラキラ oh baby,
so, this is where we are now
just feel it
英詞の箇所は「だから僕たちはここにいるんだ、と実感している。」みたいな意味のはず。
スターになれたから、スターとしての自分を認めたから、ファンを愛しファンに愛され、二階堂高嗣は今ステージに立っている――
そして、このスター宣言の後、サビのフレーズが再度繰り返される。
再びファンはアイドル二階堂高嗣の背中を押す代わりに「ニカニカ」と歌い、二階堂くんは「はぐすた」と歌うことでアイドルであることを証明する。
想い馳せ その想い馳せ wa!
「二階堂高嗣=アイドル」という想いを完膚なきまでに馳せさせられたところで、この曲は終わ
?
?
あれ?
(諸事情によりキャプ画は貼りませんが心の眼で見てください)
・今その気になっちゃって
・逃したくないぜ this one chance
・黄金の夜へ
『はぐすた』は、一夜限りの儚い魔法だったのかもしれない。
それか、またオタクのことをからかいたくなったとか。
恥ずかしかったからとか。二階堂くんかわいいね。
まあいいや。
現実の二階堂くんは、366日“29歳”でいてくれたから。きっとこれからもアイドルとしての自分を証明し続けてくれるに違いないから。
二階堂くんの「黄金の夜」は明日からも続く――